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高校 卒業式

高校 卒業式2012年03月21日 10:21

 3月19日(月)午後1時30分より高校卒業式が大妻講堂にて行われました。
 6年間という長い年月を経て、それぞれの夢へと向かって旅立つ卒業生を送る出発の式です。式の前半は担任より一人ひとりの名前が呼ばれ、卒業証書授与が行われます(右上写真)。ご来賓よりお祝いの言葉をいただき、式は後半へ。在校生代表による送辞(右中央写真)の後に卒業生代表による答辞が読まれます。一言一言に思いが込められ、6年間の泣き、笑い、悩んだ日々が思い起こされます。
 そして在校生による「蛍の光」、卒業生による「仰げば尊し」、出席者全員による「校歌」は会場いっぱいに響き渡りました。
 新しい旅立ちを迎えた卒業生の皆さん、大妻生であったことに誇りを持ち、大きく羽ばたいて夢を実現させてください。
 保護者の皆様、長きにわたる本校への多大なるご協力、誠にありがとうございました。
 
以下、式中に読まれました答辞を掲載いたします。
 
~答辞~
 
 通いなれた通学路には色とりどりの花が咲きはじめ、さわやかな風が春の訪れを予感させる季節となりました。
 本日は、私たちのためにこのような盛大な式を挙行して頂きましたことを、心より御礼申し上げます。
 ただ今は、校長先生をはじめ、ご来賓の皆様、在校生の方からの温かいお言葉をいただき、ありがとうございました。私たちはそのお言葉を胸に、今日、この大妻を旅立ちます。
 私たちは中高六年間を通して「志を高く」という学年目標を掲げて過ごして参りました。漠然とした目標であったために当初はこの言葉の意味をよく理解できておりませんでした。しかし、六年間を振り返った今、私たちは常にこの言葉の下に目標を高く掲げ、様々な事に挑戦し、前向きに努力を重ねてきたこと、そして、この言葉が大妻での生活の様々な場面で私たちを勇気づけ、奮い立たせてくれたことを実感しています。
(この続きは以下からご覧ください)

 
 私は、父の知人に法律家がいたこともあり、困っている人と直接関わって手助けすることの出来る弁護士に憧れを抱いておりました。
 高校では、進路学習の一環として、職業系統ごとに分かれて学ぶ分科会に参加しましたが、学習を進めるにつれて、法律家の仕事の大変さについても知るようになり、自分にこの職業は向いているのだろうかと、自信が持てなくなることもありました。
 しかし、大学の先生をお招きして行われた模擬講義で、法律には色々な解釈の仕方があるため、導かれる結論も様々であり、優れた法律家は適切に社会の問題を解決することができることを知りました。そのような個人裁量に任された仕事には大きな責任も伴いますが、その分やりがいのある仕事であることに魅力を感じるようにもなりました。それ以来、弁護士に対する単なる憧れの気持ちから、法律とその解釈を学び、現実の問題に応用していくということに興味を抱くようになり、私は迷うことなく弁護士を目指すようになりました。
 また、分科会で先生に引率して頂いた裁判所見学では、実際に女性裁判官の方にお話を伺う機会がありました。地方転勤がたくさんあるにも関わらず家庭を持ち、育児と仕事との両立もされていたその方に、社会に出て働く女性として尊敬の念を抱き、自分が目指している理想像を見出した思いがしました。
 このように、私は進路選択にあたり、一時は迷うこともありましたが、志を保ち続け、真剣に自分と向き合った結果、自分の将来に確信が持てるようになりました。
 
 また、私は第二会場文化祭実行委員会に所属し、中学三年生のときから四年間、文化祭の運営に携わって参りました。第二文実は、文化祭のときに大妻体育館で舞台進行や照明などの裏方を担当しており、総勢八十名程で成り立っています。第二文実の仕事は大変専門的なもので、それらは代々の先輩方に教えていただきながら自然と身につけていくのです。私たちは最高学年として第二文実の伝統を後輩に引き継ぎ、さらには今まで以上のステージを作ることを目標に掲げました。
 しかし、はじめのうちはなかなか上手くはいかず、理想と現実はかけ離れていました。なぜなら、最高のステージを作り上げようという志を皆が共有していなかったからです。私たちの理想とする第二文実は、一人ひとりがその志を持ち、与えられた仕事だけではなく、自主的に自分のすべきことを見つけ、先輩後輩関係なく互いに協力しあう姿勢を持つ、というものでした。
 そこで、私たちは忙しい受験勉強の合間に自主的に集まり、自らの経験や昨年度の改善点から、綿密な打ち合わせを繰り返しました。まず私たちが行ったことは、作業一つ一つがどれほど大切なものか、後輩たちに理解してもらうことでした。例えば、文化祭のステージ上には場見と呼ばれる数十色で色分けされたテープが無数に貼ってあり、演技者の立つ位置や楽器の配置の目印となっていまます。この場見がうまく貼られていないと余計な混乱が生じ、舞台のスムーズな進行を妨げてしまうので、小さいけれどとても重要な作業なのです。私たちは新たな試みとして、昼休みに場見講習会を開き、場見の重要性や貼り方を後輩に教えました。他にも、文化祭直前のリハーサルでは、終了ごとに高校三年生の仲間と集まり、毎日その日の良かった点や反省点を言い合い、情報を共有しました。
 その結果、第二文実全体がまとまり始めました。文化祭当日、私たちが目指してきた第二文実の理想像が現実のものとなった時の感動は、今でも鮮明に覚えています。
 この経験を通して、志を皆と共有することがいかに大変か、しかし、それができたときに発揮される力がいかに大きなものかを身をもって実感いたしました。
 
 高校生活において、私たちはたくさんの実りある経験をすることができました。個人が進路を考えるうえで志を高く持つとともに、学校行事を通して大勢の人が同じ志を共有するという経験は、この大妻でしかできないことだと思います。
 
 卒業を機に今までを振り返ってみると、かけがえのない出会いに恵まれ、多くの方々に支えていただいた学校生活だったと気づかされます。
 進路や、勉強と文化祭実行委員会の両立について悩んだ時には、いつも友達が相談に乗ってくれ、励ましてくれました。時には互いに切磋琢磨し、時には将来の夢を語り合った友人との思い出は、大切な宝物です。
 先生方は、私たちに学ぶことの大切さや楽しさを教えてくださる一方で、いつも私たちを見守り、私たちひとりひとりに道標を示してくださる、人生の先輩でもありました。自主性を重んじてくださった先生方のお蔭で、私たちは様々な経験をし、勉強だけではない多くのことを学ぶことができました。
 事務の皆様や用務の方々、そして警備の方々は、いつも朝早くから私たちを迎える準備をしてくださいました。皆様の支えのお蔭で、気持ちのよい学校生活を送ることができました。
 家族は、生活面や精神面で私たちを今日まで支え続けてくれました。色々と心配をかけてしまったと思いますが、私たちをこのような恵まれた環境で学ばせてくれたことを心から感謝しています。
 
 最後に、在校生の皆さん、私たちとここまで一緒に歩んでくれてありがとうございました。私たちが皆さんへ先輩から受け継いだことを示してきた代わりに、皆さんからはたくさんの元気を頂き、それが私たちの支えとなりました。これからは、皆さんがこの大妻を背負っていく番です。この歴史ある大妻の伝統を大切にし、さらに活躍されることを卒業生一同、期待しています。
 
 社会に目を向けてみますと、昨年度の東日本大震災では、多数の方が被災されました。復興の兆しが見え始めているものの、未だ苦しんでいる方たちが多数いらっしゃいます。今は募金などの貢献しかできない自分たちの現実が歯がゆく感じられますが、大妻で学んできた志というものを誇りに思い、ここで得た経験を、自分たちの人生だけではなく、これからは広く社会のために生かしていくことが出来ると私たちは信じております。
 私たちは、間もなくこの大妻を卒業いたします。もうこの制服を着ることはできませんし、大好きな友達ともこれからは違う道を歩んでいかなければなりません。しかし、私たちの心には常に同じ「志を高く」という目標があります。これからどんな困難が待ち受けていたとしても、大妻生としての誇りを持って、常に志高く、自分の可能性を広げていきたいと思います。
 
 最後になりましたが、本日はご多忙の中ご臨席くださいましたご来賓の皆様に厚く御礼申し上げます。私たちの大切な母校、大妻高等学校の益々の発展を心より願い、答辞とさせていただきます。