OTSUMA JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

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中学生も探究する

皆さま、ごきげんよう。

2022年度から高校に探究科目が導入されたことは、記憶に新しいかと思います。必修科目として「総合的な探究の時間」が設定されるとともに、「古典探究」「日本史探究」「世界史探究」「地理探究」「理数探究」といった選択科目が新設されました。これらは、生徒が主体的に考え、課題解決能力を育むことを目的としています。

本校では、中学の「総合的な学習の時間」を活用した探究的な学びを、高校の「探究」につなげることで、中1後半から高2の5年間にわたり、段階的で丁寧な学びを展開しています。

本日、中学2年生の授業を見学してまいりました。この学年では、「総合的な学習の時間」に、「グローバル課題探究プロジェクト」に取り組んでいます。国際課題の解決策を自ら考えることを通して、探究する力、行動する力の育成を目指す取り組みです。

プロジェクトで配布される冊子には、次のような言葉が記されています。

「皆さんは未来の世界を担う人材です。そして、その世界こそが皆さん自身のこれから生きていく『現場』でもあります。世界で起きている出来事は、決して他人事ではなく、皆さんにとってまさに『自分事』であり、重要なテーマなのです、このプロジェクトをきっかけに、社会課題にもっと関心を持ち、自分の考えを自分の言葉で語ることができる若者に成長してほしいと願っています。」

本日の授業は、与えられた国際課題について、班ごとに解決策をまとめ、発表するという内容でした。テーマは、「教育の普及」「海洋プラスチックごみ問題」「世界の水問題」の3つです。現状分析をふまえ、課題とその要因を整理し、解決策を検討していきました。

たとえば「海洋プラスチックごみ問題」では、①プラスチック製品の生産規制、②流出や廃棄の統制、③海洋清掃活動の推進といった案が提示されていました。ここで終われば「形だけの解決策」に留まり「理想論」となりがちです。しかし現実の国際社会では、各国がそれぞれの国益を抱え、時に対立することもある。もう一歩踏み込んだ「現実的な解決策」が必要なのです。ある班では、先進国・開発途上国・後発開発途上国の3つのグループに分け、立場の違いを踏まえて検討を深めていました。

さらに印象的だったのは、発表の締めくくりに、生徒たちが「各国の大使」としてスピーチを行ったことです。本校で長く続けている模擬国連の手法で、「国際的にはこの解決策が望ましいが、わが国の国益からするとここは合意できない」などのスピーチが続き、50分間とは思えない密度の濃い授業となりました。

授業の感想として、「今日の学びをここで終わらせず、今後も新聞やニュースに目を向け続けてほしい」「そうした取り組みの中で、新たな視点や別の課題が見えてくるのではないか」「そのようにして、探究的な学びを広げ、深めていってほしい」と伝え、教室を後にしました。

学びが社会とつながり、世界をより良くする力につながっていく。今日の授業を通して、生徒たちは、自分事として社会課題をとらえ、解決策を考えることの面白さを実感してくれたことでしょう。これこそが、コタカ先生がおっしゃっていた「社会に貢献できる自立した女性」へと歩みだす第一歩であると感じます。

明日も、皆さまにとって素晴らしい一日となりますように。

ごきげんよう。

大妻中学高等学校
校長 赤塚 宏子