OTSUMA JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

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「なぜだろう」という疑問を持とう

ごきげんよう
6月10日、理科特別講座でJT生命誌研究館の橋本主税先生をお招きして講義をしていただきました。先生は大阪大学大学院理学研究科招聘教授でもいらっしゃいます。

講演のテーマは「脊椎動物の形づくり」でした。「『カエルの原腸形成モデル』が間違えていた」というお話から、先生の長年にわたる研究を伺いました。このテーマは定説を覆す発見として平成27年3月12日の新聞各紙でも取り上げられました。

生徒は中3から高2までの希望者対象で22名、大妻多摩校からも高校生が参加してくれました。

専門外の私にとっては難しいお話でしたが、生徒は熱心に聴いていて、終了後も多くの質問がありました。
その中で、「なぜ生物に興味を持ったのですか?」という質問に対し、先生が「生物が好きというより、『論理』が好きです。家には生物の本より、哲学書もたくさんあります。今はプラナリアに興味がある。」とのお答えが印象的でした。
特定の分野に限定せず、広く学ことは大切ですね。
また、指導している学生たちに「先生」と呼ばせず、「橋本さん」と呼ばせている。なぜなら「先生」と呼ぶと力関係が生まれるからとのお答え、私も同感です。 真理を追求するという面では先生も生徒も同じです。
考え続ける、学び続けることの大切さを改めて教えていただきました。

生徒の感想をいくつか紹介します。
  • ・中3の時にカエルの発生を習ったのですが、その時の過程をぬり変えて、聞いたことのない発生の仕方を提唱されていたので、聞いていて面白かったです。今日の発表を聞いて、私も橋本先生の説がとても有力だと思いました。
  • ・卵は小さいのに様々な実験をしていてとても器用だと思いました。
  • ・先生のおっしゃっていた、定説に反するような事を研究し、科学をより真理に近づける事は楽しそうだと思いました。研究をしてみたくなりました。
  • ・論文を英語でたくさん書くとは大変だと思いました。先生を含め科学者たちはすごいです。
  • ・研究者の仕事は、一つのことを20年以上の長い期間を経て発見していることを知りました。
  • ・教科書に記載されていることが全て真実ではないことがとても興味深かったです。 ・どのように、実験することで欲しい結果を得ることができるかと考えたり、工夫することがとても楽しそうだなと思いました。
  • ・これまで教わったことがひっくり返ることがもっと他にもあると思うので知りたいなと思いました。
  • ・少しの要素で内臓がなくても骨格ができることにとても驚いた。生物を研究するのはとても楽しいと思った。
  • ・カエルの原腸形成について、「そういうものなのだ」と思い、本質的な理解を怠らず、「なぜだろう」という疑問や矛盾点探しを行うことで新たな発見があり、その種は案外身近なところにあると学べました。
  • ・理科と言うだけで難しい問題を解かなくてはと身構えていたのですが、世の中で起こる事象を科学的に解明するための練習であると思うと、楽しめる気がしてきました。
  • ・実験やその内容、結果、論文がこのように行われているのかと、今まで遠く感じていたものが意外に近く感じました。
  • ・私自身、物事に対して何も疑問を持たず、それをそのまま覚えるなどしてしまっています。物事に疑問を持ってておいた方が良いのでしょうか?
  • ・はじめに教科書が間違っていると言われた時はぎょっとしました。私も学校で教えられたことを鵜呑みにせず、自分でおかしなことを発見し、突き詰めていきたいです。
  • ・カエルの原腸形成は、中学の授業で学んでいたので、その形成の矛盾と証明の過程が興味深かったです。
  • ・教科書で習った原腸形成と実際の動きが違ったことに驚きました。また普段、私はなぜそうなのか考えずにただ暗記していたということに気づきました。

大妻中学高等学校
校長 梶取弘昌