OTSUMA JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

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「自分」を生きる

ごきげんよう。
高校生の対面式で角野栄子(かどのえいこ)さんをお招きし、お話していただきました。角野さんは1935年東京都生まれ。年齢を感じさせない若々しいお姿とお話でした。
「魔女の宅急便」(福音館書店)の原作者だということは皆さんご存知ですね。
他にも「サラダでげんき」(福音館書店)、「アッチ、コッチ、ソッチ ちいさなおばけシリーズ」(ポプラ社)「トンネルの森1945」「イコ?!トラベリング 1948−」(角川書店)など素晴らしい作品がたくさんあります。

対面式は中学を卒業し、新たに高校生として迎え入れられる大切な行事です。
その中で大先輩の角野さんのお話を聴けたことは大変素晴らしいことです。
1時間にわたるお話を高校生たちは興味深く聴き入っていました。

印象に残ったお話をいくつか紹介します。
最初の作品を出版する前に、10数回書き直したそうです。1回ずつ最初からすべてを書き直す作業は大変だったと思いますが、角野さんは書くのが楽しかった。自分が自分でいられる素敵な時間だったとおっしゃっていました。

生徒にお話になったことは
・好きなことを見つけてほしい
・ゆっくりと好きなものを探してほしい
・好きなことを見つけるとそこから自分を深めることができる
・道草のような自由な時間が大事。そこからから発見、出会いがある。
・本を読むことの中に道草がある
・本の扉を開くと、そこから違う世界に行くことができる。
・道草の中ではいろいろなことに、発見があり、想像力が広がり、それは創造につながっていく。
・本を読み、自分の言葉を増やしてほしい。そうすると表現も豊かになる。
・自分に合わない難しい本を読んで無理やり「背伸び」しなくてもいい。
・本は自分が好きなものを読んでほしい。そこからいろいろな発見があり、結果として「背伸び」できる。
・言葉の意味は教えられるが、その“ことば”が伝えることは一つではない。
・言葉には風景がある。リズムがある。自分の言葉を持つことが大切。
・人の目を意識して自分のしたいことを捨てないでほしい。
大人も人の目を意識している人が多い。
・人を思いやる気持ちも大切だが、自分がしっかりしていることが先。
・ワクワクして生きてほしい。ワクワクには特別なことはいらない。
「今日の夕食、何を食べようか?」でも十分ワクワクする。
・物語を書く時、登場人物と一緒に歩くように、同じ速さで動く。
その人がこれからどうなるか考えるだけでワクワクする。
・新しいものを見たい。そう考えただけでワクワクする。
・書き始めにすべてを決めることはしない。書きながら、物語の動きに、自分もワクワクしている。

「書いてごらんなさい」と生徒たちに投げかけました。
「人に見せなくていい。ただ書くことが大事なの。私は7年間、人に見せることなく書き続けました。その作業が楽しかった。」
そう仰いました。

書くことが好き。人の目を気にするな。
生徒たちにとっても私にとっても貴重なメッセージでした。

ごきげんよう

校長 梶取弘昌