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仲間とともに
皆さま、ごきげんよう。
昨日は中学の合唱祭でした。
中学一年生から三年生まで、すべてのクラスが大妻講堂に集い、課題曲と自由曲を披露いたしました。
三年生の課題曲は『旅立ちの日に』。
生徒たちの歩みが静かに思い起こされる、私にとっても毎年心待ちにしている大切な一曲です。
歌は、なんと不思議な力をもっているのでしょう。
ただの言葉であったはずのものが、ひとたびメロディに乗ると、まるで新たな命を宿したかのようにすっと心の奥へと届きます。
そこから思いもよらなかった意味に気づかされることもあるのです。
旋律というパートナーを得た言葉が、講堂いっぱいに広がり、聴く者の心に直接語りかけるからかもしれません。
歌には、眠っていた記憶をそっと照らす力もあります。
ある一節を耳にするだけで、遠い日の情景や、ともに過ごした人の笑顔がよみがえる。
目を閉じて歌声に身を委ねていると、記憶の底にしまわれていた思いまでもが姿を現し、心の扉がゆっくりと開いていくのを感じます。
ここまで書いてきて、歌にはもう一つ素晴らしい力があることに気づきました。
歌は、合唱は、人の心を一つにします。
「美しいハーモニーをつくりたい」
「この思いを届けたい」
そして、「ともに歌う私たちは仲間である」という確かな実感。
今回の合唱祭では、インフルエンザによる学級閉鎖のため、出場がかなわなかったクラスがありました。
三日前、学級閉鎖が決まり、出場できないことが確定した際、クラスの全員が校長室を訪ねてくれました。
措置がやむを得ないことは理解しつつも、
「それでも私たちは歌いたい」
「担任の先生に、私たちの歌を聴いてほしいのです」
そう訴える声のあちこちで、すすり泣きが聞こえました。
「クラスの仲間として歌える最後の機会なのです」
その真摯な思いに、胸を打たれました。
改めて気づかされたのは、合唱とは結果のためのものではないということです。
同じ時間を過ごしてきた仲間と心を合わせ、声を重ねること、それ自体に、かけがえのない意味が宿っているのですね。
合唱祭で育まれた「仲間とともに」という気持ちは、やがて新しい場所で、新しい仲間と出会うときにも、大きな力となって皆さんを支えてくれることでしょう。
とても良い合唱祭でした。
明日が、皆さまにとって素晴らしい一日となりますように。
ごきげんよう。
*『旅立ちの日に』 作詞:小嶋 登 作曲:坂本 浩美