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もう一度、響く日を
皆さま、ごきげんよう。
大妻講堂の舞台には、立派なパイプオルガンがあります。
1993年にドイツ・バイエルン州で製作され、二か月をかけて日本へ運ばれてきたオルガンです。ミュンヘン大聖堂のオルガンを手がけたことでも知られる、トーマス・ヤン オルガン製作所の作と伺っています。
先日、このパイプオルガンの見学会がありました。調整の機会に合わせて説明を受け、普段は見ることのできない内部の構造まで見せていただきました。
パイプオルガンは、パイプに風を送り込んで音を出す大きな楽器です。
リコーダーを思い浮かべると、仕組みがわかりやすいかもしれません。
舞台の地下には、ふいごの役割をする送風装置があり、そこから送られた風がパイプを通って、音になるのです。
ところで、このオルガンには何本のパイプがあると思いますか?
答えは…、大小合わせて約2900本もあるそうです。
金属製のものだけでなく、木でできた四角いパイプもありました。
鍵盤の左右には、音色を変えるための「ストップ」と呼ばれる装置があります。
これらを使い分けることで、トランペットを思わせる明るい響きや、弦楽器のようなやわらかな音色が生まれるそうです。
「楽譜には、『この音はこの音色で弾く』という指示があるのですか」と伺いました。
書かれている場合もあれば、何も示されていない場合もあるそうです。
その場合には、奏者が曲の性格や会場の響きを考え、自分で音色を選んでいくとのことでした。
パイプオルガンは、厳かな楽器であると同時に、奏者の解釈によって表情を変える、とても創造的な楽器なのだと感じました。
見学の途中、調整に携わる方が、いくつかの和音を聴かせてくださいました。
講堂全体が、深く震えるような音でした。
これまで、舞台の上で何度も見てきたはずのオルガンですが、この日、私は初めてこの楽器にきちんと出会ったような気がしました。
中高の生徒たちにも、いつか是非聴かせたい。
講堂の空気そのものが鳴り始めるような音の渦の中に、身を置いてみてほしいと思いました。
けれども、いま、このオルガンは本来の音色を十分に響かせることができません。
長い年月を経たことに加え、コロナ禍の影響もあり、不具合が生じているのです。
音の出にくい鍵盤があったり、内部で空気が漏れている箇所があったりして、大規模な修繕が必要なのだそうです。
説明を伺いながら、目の前の大きな楽器が、静かに助けを待っているように感じました。
大妻講堂では、中高の入学式や卒業式をはじめ、文化祭、講演会など、様々な時間が重ねられてきました。その舞台にあるパイプオルガンもまた、多くの大妻生たちを見守ってきた存在です。
今はまだ難しくても、いつの日か、この講堂に豊かな音が戻ってくることを願っています。
その折には、生徒たちにも、保護者の皆さまにも、このオルガンが持つ深い響きを味わっていただきたいと思います。
大妻講堂に、もう一度その響きが満ちる日を、心待ちにしています。
明日も皆さまにとって素晴らしい一日となりますように。
ごきげんよう。


