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「問う」その先へ
皆さま、ごきげんよう。
本校の教室の黒板の上には、二つの額が掲げられています。
一つは校訓「恥を知れ」、もう一つは学年目標です。
学年目標とは、担任の先生方が「この学年の生徒たちにどのように成長してほしいか」を考え、言葉に託したもの。全学年の目標それぞれに、熱い思いがこもっています。
現高校1年生の学年目標は「問う」。
生徒たちは毎日この言葉を目にしながら、学校生活を送っています。
先日、高校生の希望者とともに、東京大学大学院医学系研究科の水島昇先生の研究室(https://molbiolut.jp/)を訪問してまいりました。前校長の梶取先生からいただいたご縁によるものです。
水島研究室では、細胞が自ら不要になった成分を分解、再利用する「オートファジー」の研究が行われています。この研究は、生命現象の理解を大きく進め、様々な病気の解明にもつながる可能性を持っています。
研究内容についてご説明いただいた後、研究室の本田郁子先生にもご案内いただき、実験室や最先端の研究設備を見学させていただきました。顕微鏡や大型の実験機器が並ぶ中で、黙々と研究に取り組む学生の皆さんの姿が印象的でした。
今回の見学を通して私が強く感じたのは、「問う」ことの先にある世界でした。
大妻では、生徒たちが自ら問いを立てることを大切にしています。
しかし、研究の現場で求められるのは、問いを立てることに留まりません。
一つの疑問を何年、何十年と追い続け、仮説を立て、検証し、また考える。
その地道な積み重ねによって初めて新しい発見の扉が開かれます。
ご説明の中で、水島先生が「オートファジーをオン・オフできるマウス」という手法についてさらりと触れられる一幕がありました。
しかし、その仕組みを実現するまでには、数えきれないほどの試行錯誤があったはずです。
研究とは、自らの問いに対してどこまでも誠実に向き合い続けることなのだと、深く感じました。
先生は質疑応答の時間も設けてくださいました。
「飢餓状態でなくてもオートファジーは起こるのか」
「一度機能を停止させたオートファジーを再び働かせた場合、細胞は元の状態に戻るのか」
生徒たちは次々に手を挙げ、自分の疑問を率直にぶつけていました。
「問う」ことに果敢にチャレンジする姿は、実に頼もしく、誇らしいものでした。
最後に水島先生は、「医学の基礎研究の分野も含め、まだ女性研究者は少ない」「アンコンシャス=バイアスにとらわれず、自分の好きな道を歩んでほしい」と、未来を生きる大妻生たちにエールを送ってくださいました。
問いへの答えは、また新たな問いを生みます。
その探究の積み重ねによって、私たちは少しずつ世界への理解を深めていくのでしょう。
今回の見学で最も大きな収穫は、「問い続ける人」に出会えたことでした。
研究の最前線に触れるだけでなく、水島先生、本田先生が未知の課題に向き合い続ける姿勢そのものから、問い続けるということの重みを学んだのではないでしょうか。
帰り道の生徒たちは、どこか興奮した様子でした。
世の中には、一つの問いを追い続けながら生きる人がいる。
その事実が、生徒たちの心に強く残ったのかもしれません。
ごきげんよう。
