大妻中学高等学校

校長先生のお便り

Principal's Letter

校長先生のお便り
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秘密のゲーム

皆さま、ごきげんよう。
BARNGA(バーンガ)というゲームをご存じでしょうか。
トランプを用いたカードゲームですが、「内容を知らないこと」そのものに意味がありますので、詳しい説明は控えたいと思います。

昨日、中学1年生のグローバルスタディーズの授業で、生徒たちがこのゲームに取り組んでおりました。
「今日はいつもの授業と違う」
そんなうきうきした雰囲気の中、班ごとに分かれてゲームが始まりました。
身振り手振りはできますが、ゲーム中の会話は禁止。
先生への質問もできません。
最初は楽しそうに取り組んでいた生徒たちでしたが、ゲームが進むにつれ、少しずつ表情が変わっていきました。
首をかしげる生徒、困惑した表情を浮かべる生徒。
「何かがおかしい」と感じながらも、その理由がわからないのです。
そして最後に……すべてが明らかになります。

** * *

BARNGAは、インドのシヴァサイラム・ティアガラジャン氏によって開発された、異文化コミュニケーションを学ぶためのゲームです。
異なる文化や価値観を持つ人々と出会ったとき、自分の常識が通用しないことがあります。
その時、人はどのような気持ちになり、どのように行動するのか。
このゲームは、そのことを体験的に学ばせてくれるゲームなのです。

私自身も、初めて体験した時には、戸惑い、不条理さや怒り、悲しささえ感じました。
そして最後に仕掛けの意味を知った時、大きな気づきと感動を覚えました。

授業中の生徒たちの反応も実に様々でした。
1人で状況を整理しようとする生徒、手を挙げて先生に質問しようとする生徒、身振り手振りで班員と謎を解こうとする生徒。
同じ出来事に出会っても、人によって受け止め方や行動が異なることがよくわかりました。

** * *

この授業を見ながら、私は次期学習指導要領で重視されている「多様性の包摂」という言葉を思い出しました。
これから生徒たちが生きていく社会では、自分と異なる背景や経験を持つ人々と関わる場面が数多くあります。
その時に大切なのは、「「多様性を認めよう」と知識として理解することだけではありません。
自分の常識が通用しない時、すぐに否定するのではなく、まず立ち止まって考えること。
そして、相手を理解しようと対話を重ねること。
今回の授業は、その大切さを体験を通して学ぶ貴重な機会となりました。

授業の後、生徒たちが感想を伝えにきてくれました。
「こういうことだったんですよ」
「だから通じなかったんです」
授業で学んだ知識は、時がたつにつれて薄れていくこともあります。
しかし、自分の心が動いた体験は、長く残ります。
この日の戸惑いや驚きが、将来、まだ見ぬ誰かと向き合う時の小さな支えとなってくれればと思います。

明日も皆さまにとって素晴らしい一日となりますように。

ごきげんよう。

大妻中学高等学校
校長 赤塚 宏子