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校舎に込めた思い
皆さま、ごきげんよう。
さわやかな5月を迎え、何とも気持ちのよい季節となりました。
緑はいよいよ濃くなり、校長室の窓からも、カツラの葉が生き生きと茂る様子を眺めることができます。
本校は、番町という歴史ある街並みの中に校舎を構えています。
都心にありながら、静謐で落ち着いた環境の中で学べるのは、大変恵まれたことだと思っております。
校舎は地下1階、地上9階。一見すると、オフィスビルのように感じられるかもしれません。
現在の校舎は2004年に完成し、すでに22年の月日が流れました。
校舎の建て替えは、半分ずつ工事を進める形で行われました。
片側を工事している間、中学生は残された校舎で学び、完成後は新校舎へ移って、今度は反対側の工事が進められたのです。
その間、高校生は神田にあった旧千桜小学校の校舎をお借りし、中学生とは別の場所で学校生活を送っておりました。
当時、私は高校の担任をしており、千桜小学校で生徒たちと過ごしていました。
こぢんまりとした校舎で、職員室からすぐ校庭へ出ることができ、体育の授業の様子を間近に見られたことも、懐かしく思い出されます。
また、神田の街には、三番町とはまた異なる下町情緒があり、その空気に触れながら過ごした日々も心に残っています。
校舎建て替えにあたり、私たち教員は「校舎建設検討委員会」を立ち上げました。
業者の方にすべてを委ねるのではなく、生徒たちにとって本当に良い校舎をつくりたい、その思いから、現場を最もよく知る教員たちが、様々な意見を出し合ったのです。
その中で、特に大切にされたことがあります。
それは、中高6年間という、多感でかけがえのない時間を過ごす場所だからこそ、「あたたかさの感じられる校舎にしたい」ということでした。
生徒たちの手が触れる階段の手すり、教室の扉、黒板の桟にはすべて木を用いていただくことにしました。
床や腰壁にも白木を使い、教室では、生徒の目に刺激の強い色が入りすぎないよう、ロッカーは白色、生徒用の椅子は淡い緑色に統一されました。
目を引く派手さはありません。
しかし、生徒たちが落ち着いて日々を過ごし、学びに集中できる空間にしたいという願いが、校内の細部に込められています。
20年以上たった今も、朝出勤するたびに、「ああ、いい学校だなあ」と思うのです。
職員室前は、生徒と教員が自然に語り合えるよう、テーブルと椅子を置いたラウンジとしていただきました。
現在でも、生徒たちが先生に質問をしたり、何気ない会話を交わしたりするあたたかな交流の場となっています。
また、そこから9階まで続く吹き抜けには、天井のガラスから自然光が降り注ぎます。
朝の光、雨の日のやわらかな明るさ、夕方の静かな空気。
時間によって表情を変えるこの空間に、私は今でも心地よさを覚えます。
本校の校舎は、単なる建物ではありません。
生徒たちに、安心して学び、成長してほしいという、当時の教員たちの思いが、目に見える形となってここにあるのです。
ごきげんよう。
