大妻中学高等学校

校長先生のお便り

Principal's Letter

校長先生のお便り

対話が試される時代に

皆さま、ごきげんよう。

1月8日、本校も無事に3学期を迎えました。本日は、高校始業式での校長のことばをお届けいたします。

* * *

新年明けましておめでとうございます。
こうしてまた皆さんと元気な顔で三学期のスタートを切れることを、大変嬉しく思います。

さて、この冬休みには、さまざまな出来事がありました。
箱根駅伝で驚異的な区間新記録が出たというワクワクするニュースがある一方で、決して穏やかとは言えない出来事も続いています。
先日、ある大国が別の国に武力侵攻し、大統領を拘束したという報道がありました。
「自分とは関係のない遠い世界の話」と感じている人もいるでしょう。
しかし、国際社会で起きていることは、時間差はあっても、必ず私たちの生活や選択に影響を及ぼします。

皆さんはこれまで、「国家が主権を持っていること」に加え、「国家が守るべき国際法や、争いを防ぐためのルールがあること」を学んできました。
それらは、人類が長い歴史の中で、失敗を重ねながらようやくたどり着いた一つの到達点です。
ところが現実の世界では、時にそのルールがいとも簡単に破られてしまう。
「話し合いよりも力ずくで従わせる方が早い」、「相手が悪いのだから問題はない」といった考えが、現実には顔を出すのです。
それは大変残念なことであり、現代に生きる一人として、恥ずかしさを覚えずにはいられません。

同様のことは、私たちの身近な人間関係の中にも起こり得ます。
「異なる考えを丁寧に聞くより、強い意見のもとにまとめてしまう方が手っ取り早い」と感じてしまう場面が、少なからず見受けられます。
しかし、そのようなやり方からは、本当の意味での納得や信頼が育つことはないでしょう。

私たちは今、多様な社会の中に生きています。
それは、様々な考え方を持つ人たちの中に、ただ身を置いていればよいという話ではありません。
多様な社会とは、違いがあることを前提としながら、歩み寄りを目指して相手の価値観を尊重し、対話を重ねていく社会のことを指します。
力や声の大きさではなく、考えや言葉で互いに向き合うことは、21世紀を生きる私たちが、必ず身につけなければならない姿勢なのです。

だからこそ、今、国際情勢に関心を持ってほしいと思います。
事の経緯を知るためだけでなく、「なぜその選択がなされたのか」と立ち止まって考え、自分なりの意見を持ってほしいからです。
すべての対話は、自分の意見を持つこと、そして相手の意見を聞くことから始まります。
合わせて、大妻中高が、皆さんがそれぞれの意見を自然に語り合えるような集団であってほしいと願っています。

この三学期、一年間の学びの成果を確かめるとともに、自分の考えをさらに深め、言葉や行動として形にする学期にしてください。
身の回りだけに目を向けるのではなく、視野を広げ、社会や世界に思いを巡らせてほしいと思います。
そのような「向き合い方」こそが、大人へと成長していくための大事な一歩になると信じています。

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明日も、皆さまにとって素晴らしい一日となりますように。

ごきげんよう。

大妻中学高等学校
校長 赤塚 宏子